谷口たかひさ様ご講演記録

■自己紹介

こんにちは。谷口貴久です。

ご紹介いただいたように、直近はドイツに住んでいました。ドイツで知った地球温暖化、気候変動の実態を日本の方々にも知って欲しくて、昨年から本格的に日本国内をお話しながら回っています。

今日のように、たくさんお声がけをいただけることで、講演活動を始めてから1年ちょっとですが、今日で646回目の講演になります。

毎日、各都道府県を移動しているので、家に帰る暇がなく、家賃を払い続けるのがもったいないと感じ、昨年、ドイツの家も日本の家も解約しました。現在は世界のどこにも家がない状態で毎日どこかのホテルを転々としながらお話をさせていただいています。すると、先日久しぶりに自身のウィキペディアのページを見ると、「ホームレス環境活動家」と書かれていました。

ということで、「ホームレス環境活動家」の谷口貴久です。今日は、よろしくお願いします。

出身は大阪なんですが、どうしても大学からイギリスに留学したくて、10代から企業をしてお金を貯めてイギリスに留学しました。卒業後は、ドイツで起業しました。どんな企業かというと、ドイツやフランスにすでにある、プラスチックごみ問題の解決につながる商品を日本に輸出するという企業です。

レジ袋やペットボトル等のプラスチックごみは30%が自然に流れ出ていると言われています。流れ出たごみは、海の生き物が餌と間違えたり、体にごみが絡まることで、10万以上の海洋生物が死んでしまっていると言われています。

このプラスチックごみは自然界で分解されないので、これからも私たちが今のペースでプラスチックごみを出し続けた場合は、あと30年以内に、海洋生物よりも海を漂うプラスチックごみの方が多い「ごみの星」になると言われています。

そういうことを解決するためにドイツで起業していました。

そういう仕事をしていたのですが、ドイツやイギリスなどではこの3年間程、地球温暖化・気候変動に関することがトップニュースになっていました。「私たちの家が火事です」「人間が住めない地球になってきています」という報道に日々触れている中で、「本当に大変なことになっている」と感じ、先ほど紹介した会社は閉じて、現在は気候変動を止めるための活動をしています。


■今、地球で実際に何が起きているのか?

 気候変動が原因で起きている異常事態の中で、特に2020年に起こったことを中心に、「火災」「台風・豪雨・洪水」「氷がとける」についてお話をさせていただきます。

・火災について

オーストラリアでは、気候変動が原因となった火災で、2000以上の家が燃え、約30億の動物が焼け死んだと発表されています。日本では、最近は報道されることがありませんが、オーストラリアの火災は現在も続いています。例えば、ここ72時間の間にもオーストラリア全域で火事が発生しています。

この火災が起こっている原因は、気候変動により、世界中で乾燥が進行していること、つまり干ばつが発生していることです。それに加えて、40℃超えの日が続き、樹脂(油)が多く含まれるユーカリが自然に発火し、火事が起きています。

一方、アマゾンの火災はオーストラリアとは原因が違います。アマゾンでは、人間が火をつけています。まだ原住民や動植物が生活している、「地球の肺」と呼ばれるアマゾンに人が火をつける理由は、私たちが日々食べている「牛肉」にあります。

地球上に5000種類以上いるとされる哺乳類のうち、人間と畜産動物(牛や豚等)の割合は96%を占めています。どう考えても異常な状態になっています。

私たちが日々購入する100g100円程で売られているお肉(特に牛肉)の餌となるトウモロコシや大豆を育てる土地を確保するために、人間が空からガソリンをまいて火をつけて燃やしています。国産の牛肉であっても、餌は海外からほぼ全て購入しています。

これが一つ目の火災です。

・台風/豪雨/洪水について

今、温暖化で海がとても暑くなっています。温暖化で増えている熱のうち、90%以上は海に入るため、海水温度が急激に上昇しています。海が熱くなると、海からあがる水蒸気量が増えるため、台風、豪雨、豪雪が多発し、これまでにないような規模で発生しています。2月には、ブラジルで子どもが立てないほどの豪雨が多発し、たくさんの人が命を落としていて、国家として非常事態宣言を発令しました。同じ2月、スペインでは超大型の波を伴う嵐が起きています。7月には日本の九州を中心に、老人ホームや病院がまるまる水に沈むような豪雨と洪水が発生し、70人が命を落とし、135万人が避難生活を送っています。先月もインドで1週間に2回のスーパーサイクロンが発生し、100万人以上が避難しています。

これが二つ目の台風、豪雨、洪水です。

・氷がとけるについて

2019年7月は人類の歴史上一番暑い1カ月間だったと公式に発表されました。そのとき、私はドイツにいました。ドイツは、とても涼しい国なので、基本的にクーラーはありません。それにも関わらず、ドイツでは42.6℃、フランスのパリでは46℃まで気温が上昇しました。人が耐えられる気温は41℃と言われています。なので、ヨーロッパで7万人以上が暑さで死亡しています。子どもが学校に行くために外に出ると死んでしまうような気温ということで、夏は学校を封鎖しました。電車のレールが暑さによって膨張して脱線事故を起こしたので、ドイツ全土で電車を停止しました。

去年はさらに暑い日が続いていて、歴史上一番暑い1年間だったとNASAが発表しました。

8月17日に日本で歴代最高気温を記録しましたが、同じ日のアメリカカリフォルニア州の気温は、地球上で観測された気温で最も高い54.4℃でした。想像がつかないですね。

この気温上昇によって、先ほど紹介したオーストラリアの火災と同様の火災で、過去最悪のものがアメリカで発生しました。9月だけで東京都9個分が焼けました。僕の知り合いのお母さんもこの火災で命を落としました。カリフォルニア州の知事が、「未だに気候変動が嘘だと思っている人がいるなら、今すぐカリフォルニア州に来れば分かる」と世界に向けて発信しています。

アメリカや日本と比べるものではないですが、南極では去年の2月に観測史上最高の+20℃を超え、一週間ちょっとで南極の島の4分の1の雪や氷が溶けて海に流れ出ています。これによって海面上昇が起こり、アメリカのフロリダ州では、晴れの日でも道路が洪水しています。

反対側の北極圏は、2020年6月9日に気温が初めて38℃に達し、1日に100億トンを超える氷が溶け続けていて、雪や氷がなくなっています。基本的に人類は資源が豊かな沿岸部に住んでいるので、このまま海面上昇が続くと、住んでいる場所や資源が失われていって、残った資源の奪い合いが世界的に加速するといわれています。

2021年2月に行われた国連の安全保障理事会では、気候変動と戦争の繋がりに重点を置いて話されており、日本の防衛省でも5月に、気候変動が安全保障に与える影響や今後海面上昇によって領土や資源をめぐる争いが活発化する恐れついて議論を始めています。

気候変動で一番最初に失うものは「自然」ではなくて「平和」だといわれています。そもそも、現在当たり前のように映る「平和」というものは、先を生きた人たちが命がけで勝ちとってくれたものです。僕たちが守り続けない限り、まだ100年も続いたことがありません。なので、気候変動に取り組むことは「偉い」とか「意識が高い」とかではなく、気候変動に「無関心」でいられる人はいても、「無関係」でいられる人は一人もいません。僕は、自然とか動物よりも人間が好きで、平和を守り続けたいのでこの活動をやっています。

この話を聞いている方々はもともと気候変動に関心のある人が多いと思いますが、関心のない人からすると知らないことばかりです。気候変動という問題の一番大きな希望は、まだ誰も知らないということです。こういう問題を詳しく勉強している人に限って、こんなに大変なことになっているのに、みんな知らないことが絶望的だと言いますが、逆です。みんなが知っているのに、そんな深刻な状況まできているのであれば、それが一番絶望的です。人は、知っていてやっていること、わざとやっていることは、これからも変えません。しかし、単純に「知らなかった」という人が、自分の日々の選択が気候変動に繋がってきているということを知り、自分の日々の選択を少し優しく見直すだけで全然違う未来がつくれて、自分や自分の大切な人の未来を守れるということに気づいて日々の行動を変えるということは多くの人に可能なことです。

深刻な状況まできていることは事実ですが、まだ多くの人がそれを知らないということが一番の希望です。みんなが知れば、必ず変わります。

今お話ししたことはすべて、地球の温度が上がることによって起きています。約200年前にイギリスの産業革命が起こってから、約1.1℃上昇したと言われています。1.5℃の上昇を迎えると、後戻りができない気候大惨事を招く可能性が高いため、1.5℃未満に抑えようといわれていますが、2018年のIPCCという国連気候変動に関する政府間パネルの報告書によると、このままのペースで温室効果ガスを出し続けた場合、あと6年と半年ほどで1.5℃の上昇を迎えてしまうと言われています。

ドイツのベルリンやニューヨーク、イギリス、韓国のソウルなど、世界の主要地ではこの気候変動のタイムリミットを示す「気候時計」が設置されています。僕も今、渋谷のスクランブル交差点に置けるように動いています。

このような状況の中、世界中で子どもが学校に行かなくなっています。小学生、中学生、高校生などの子どもが、平日に学校をボイコットして、街中に集まって車線を塞ぎ、デモを行っています。これが珍しいことではなく、ドイツ全土、1日に500カ所以上、140万人以上の人がやっているため、私は一番近い場所で行われていたデモに参加しました。

僕が参加した集会の主催者は14歳のテラちゃんという中学2年生の女の子で、友達と二人でインタビューさせてもらったことがあります。なぜ学校に行かずに活動をするのかを聞くと、「大人たちに言われた通り、学校に行って自分の将来のために勉強して分かったことは、このままでは私たちに安全な将来は存在しないということ。大人たちは、口では子どもが一番大切と言うが全員口だけで、私たちの将来を守ろうとしている大人を見たことがない。大人たちが気候変動に他人事で子どものような行動を続けるのであれば、子どもである私たちが自分事として大人のように振るまってこの問題をどうにかする」と話してくれました。僕はこの子のような子どもたちに口だけの大人と言われたくなかったので、この活動をやっています。

一つ目は、日本で全然報道されていないので、僕らが住んでいる地球で一体何が起こっているのかについてお話をさせていただきました。


 ■どうやったら変えられるのか?

次は、どうやったら変えられるかについてお話をさせていただきます。

イギリスの学者で、気候変動だけでなく、世界中で起きている色んな問題を研究してきた方が45年間の研究の成果を最近発表しました。それは、「『自分』と『他の命』にあとほんの少しだけ優しくなる」というものでした。これが、45年間も研究を続けた学者が最後に発表した解決策だったので、とても説得力があると感じ、いつも紹介しています。

最近は、SDGsなど、難しい言葉も聞くようになりましたが、自分の問題であろうが、社会の問題であろうが、ほぼすべての問題は、思いやりの欠如で起こり、思いやりで解決できます。この解決策で『自分』が先に来ていることがとても重要です。まずは、徹底的に自分自身のことを満たしてあげてください。自分が満たされて初めて、きれいごとではなく、地球や他の人のことを考えられるようになります。

その上で、5つの大事なことについてお話しします。

・ごみを減らす、マイ箸・マイバック等を使う

特にプラスチックと食べ物のごみは環境負荷が大きいと言われています。ですが、出かけるときにエコバックと水筒のセットを持ち歩くことを癖づければ、レジ袋とペットボトルのごみはゼロになります。フードロスは、買いすぎない、作りすぎない、外食の時に注文しすぎない、賞味期限を気にしすぎない、ということを意識しましょう。賞味期限はとても短く記載されています。卵は1か月、調味料は1年くらい短く記載されていると言われています。なので、あまり賞味期限を気にしすぎないようにしましょう。

・省エネをする、再生可能エネルギーを選ぶ

まず、電気の無駄遣いをしないこと。それよりも効果が大きいのが、家庭で使っている電気を水力や地熱、風力、太陽光等の再生可能エネルギーをつくっているところから買うことです。今はオンラインで電気を切り替えられますし、たいていの場合は安くなります。

日本では、再生可能エネルギーでの発電は20%以下で、原子力発電が6%程、石炭と石油とガスでつくられた電気が約80%を占めています。一方、ポルトガルでは、国民が家の電気を切り替えた結果、再生可能エネルギー100%で国が動いています。ドイツも50%を越えました。僕らが切り替えることで、国の再生可能エネルギーの割合が上がります。

・公共交通機関を使う、エコカーを選ぶ

近場であれば、自転車や徒歩で行きましょう。健康や美容にも良いといわれています。

・牛肉、乳製品、植物性油脂を避ける

肉を減らして野菜を増やすということです。これも健康に良いと言われています。

特にベーコンやソーセージ等の加工肉は、癌になる可能性を高めるとWHOから公式に発表されています。日本では今、2人に1人が癌になっています。

・政府・企業・メディアに意思表示をする

これが一番大切だと思います。政府や企業、メディア等、世の中に大きな影響を及ぼしそうな存在について自分で考え、投票や購入、主張という形で選ぶこと。自分の選択に責任を持つということです。

現在、新型コロナウイルスの対応を巡って、行政の対応を批判する人が日本でとても増えています。批判することは悪いことでありません。問題は、批判している人の約半数が投票には行っていなかったんです。選ぶというプロセスは放棄したのに、選ばれた人たちがやっていることに文句だけを言うのは、「何食べたい?」と聞かれて、「なんでもいいよ」と答えながら、出されたものに文句を言うのと同じことです。

今日のような話を聞いた方が、「マイバックを持って出かけるようになった」、「投票に行くようになった」と小さな一歩を踏み出すのを見て、「そんな小さなことをやったところで…」と鼻で笑う人がいますが、逆です。そういう小さいことすらもできない人がほとんどだからこんな大ごとになっているのです。


■EUと日本の教育の違い

ヨーロッパの教育を研究する機関に行って、ヨーロッパと日本の教育の一番大きな違いについて教えてもらいました。そこで教えていただいた一番大きな違いは、日本では「義務」のことは教えるけど「権利」のことは教えないということです。日本では、学校でも社会でも「やってはいけない」、「やらなければならない」という義務ばかりを言われます。

一方で、ヨーロッパでは「権利」について教えられます。「あなたには、生まれつき自由と権利があり、それは絶対誰からも侵害されないものだ」「他の人がもっている権利を侵害してもいけない」ということを教わります。ドイツでは、民主主義の最低限の権利として小学校で具体的にデモのやり方を教わります。

脳には義務脳と権利脳の2つがあります。日本の教育では、「やってはいけないこと」と「やらないといけないこと」の二つで頭がいっぱいになります。しかし、権利を意識することで、頭の中は「やっていいこと」ばかりになります。もちろん、一部やってはいけないこと、やらないといけないこともありますが。そう考えることで、人は楽に、活き活きと生きていけるそうです。

自由や権利は生まれつき備わっているはずですが、教わっていないので意識をしていません。この「権利」を意識していないと、「生きているだけで価値がある」、「自分の行動で世界を変えられる」、「自分が好き」という自己肯定感が下がっていきます。日本政府が世界中の国々に行った自己肯定感調査によると、日本人の自己肯定感は最も低いです。「周りの人に迷惑をかけなければ何をしても個人の自由だと思う」という問いで、世界平均ではYESが80%に対して、日本では半分の40%と低いです。最近、学校に呼んでもらったときに率直に思うのは、「学校って軍隊みたい」ということです。学校で、先ほどと同じ質問をしてみると、YESが10%くらいで、NOが90%くらいです。多くの子どもたちが、人に迷惑をかけないとしても、自分に自由があると思っていません。授業の後で、こっそりなぜ「NO」だったかを聞いてみると、ほとんどの生徒が「やれって言われたこと以外をやると、怒られそうで怖いです」と暗い顔で答えます。なので、今は学校最優先で回っています。

日本では、自分で自分の自由や権利を否定して、義務で縛って生きている人が多いと感じています。僕は、それぞれが本当にやりたいこと、なりたい自分、ありたい自分に向かえる社会になれば、社会が明るく楽しくなって、社会問題も解決へ向かうと信じています。

自己肯定感は生まれた時は100%ですが、成長する過程で他の人と比べられることで下がっていくと言われています。自分に最も影響を与える言葉は、親や先生、友達や恋人の言葉ではなく、「自分からの言葉」です。自分が口から発する言葉を最初に耳にするのは、自分自身です。自分自身で勝手に人と比較をして、自己肯定感を下げていることがあります。なので、自己肯定感を上げるためには、「私は私」を口癖にして、自分だけは自分と誰かを比べないようにしましょう。あなたはあなたのままでいい。生きているだけで100点満点です。

ノミは世界で一番高く飛べます。本来なら自分の身長の100倍以上飛べるのですが、どれだけ飛べようとコップに入れて蓋を閉めたら頭をぶつけてしまって、それ以上飛べません。一度、このような経験をさせると、蓋を取ってコップから出しても頭をぶつけた痛さとその高さを覚えていて、そこまでしか飛ばなくなります。

でも、こうなってしまったノミでも元通り飛べるようになる方法がひとつだけあります。飛べるノミを隣に置いてあげるだけでいいんです。次の瞬間から元通りに飛びます。自分も飛べていたことを思い出させてあげるだけでいいんです。

今日皆さんには、「そういえば私にも自由と権利というものがあった」ということを思い出してもらって、本当にそれを大事にして、いきいきと生きていたら、周りの人達もそんなあなたの背中に勇気づけられて、行動が変わります。そういう風に背中で見せられる人の方がかっこいいなと思いますし、僕もずっとそういう人でありたいなと思います。

スウェーデンでグレタさんと一緒にマーチをしていた時に、4時間ぐらい歩いていたのですが、その間ずっと”So that, I can say I did everything I could do.”と書かれた段ボールを高く掲げて歩いている小さな男の子がいました。これがどういう意味かと言うと、「僕は僕にできることに関しては全部やった。胸を張ってそう言える自分であるために」という意味です。まだ小さな男の子がそんなことを自分で書いて一人でマーチに来て、4時間も高く掲げて歩いていることにびっくりして、喋りかけました。男の子は「僕は8歳だけど小さな妹ができた。その妹にこのまま行くと『なんでまだ時間があるうちに何もしてくれなったの…?』と聞かれると思う。まだそんなことが理解できるような年齢じゃないけど、いつか理解をして、その時にはもう手遅れになっていて、『僕の時にはまだ間に合うタイミングで、何が起きているかも知っていたのに何もしなかったよ』なんてその子の目を見て言えるわけがない。『僕は僕にできることに関しては全部やったよ』と胸を張って言える人間でありたい」と教えてくれて、自分で聞いておいて返すことが思いつかなかったです。

でも、男の子がこれを教えてくれたときに、僕も一緒だなと思いました。こういう活動をしていると理由を聞かれることが増えて、いつもうまく説明できなかったのですが、別に褒められたいわけでも、認められたいわけでもなくて、笑われて馬鹿にされようが、悪口を言われようが、人から嫌われようが、「自分にできることに関しては全部やった」と、胸を張って言える人間でありたいだけなんです。

すごくラッキーなことに、問題がどんなに大きくても、深刻でも、時間がなくても、その問題を突き付けられた自分がどういう人であるか、どう生きるかは自分で選ぶことができます。自分の心の姿勢は絶対に人のせいにできず、100%自分が決めています。


■最後に

今日はいろいろお話しさせてもらいましたが、一昨年に大阪でやった気候変動のパレードの動画を3分間見て頂いて、最後に1個お伝えさせてもらって、今日は終わりにしたいと思います。

社会で起きている問題も、自分の身近なところで起きる問題も、何かの問題を解決しようと一生懸命になった人ほどヒステリックになって、人に完璧を求めたり、人に自分が正しいと思っていることを押しつけたりしがちです。でも、正しいの反対は間違いじゃなく、正義の反対も悪じゃないです。正しいの反対側にあるものはもう一つの正しいで、正義の反対はもう一つの正義です。正しさは人の数だけあります。

人が人を殺す戦争も、自分の身近な喧嘩も、「相手は間違っていて私は正しい」と両方が思っていない限り、喧嘩にはならないです。相手には相手なりの正義と自分と同じ、守りたいものがあります。正義は絶対に他の正義とぶつかるので、「正義」では平和は築けません。平和は相互理解、相手のことを理解して歩み寄ろうとする姿勢によって生まれます。

人間は正しさでは動けません。正しさで人間が動けるならば、問題はとっくに無くなっています。正しさでディズニーランドには行かないし、デートもしないし、鬼滅の刃の映画も見に行かないでしょう。人は正しさではなく、「楽しさ」で動くんです。人は強制されるからではなく、「共感」するから動くんです。

映像を見てもらったパレードは楽しくて、やっている途中にたまたま見かけた通行人の人たちが後ろから混ざってついてきます。最初は100人でやっていましたが、終わったら130人を越えていて、京都でやったときも4分の1くらいはたまたま見かけて付いてきた人です。

2回目に大阪でパレードをした時は、1回目の参加者が「本当に楽しいから」とお友達を誘ってきてくれて、2回目は350人以上の人が集まってくれました。

自分が正しいことをしていると言って、自己満足するのが目的であればそれでいいと思いますが、本当に何か解決したい問題があるなら、正しさには逃げずに、楽しむ工夫をして自分が一番楽しみましょう。

今日はいろいろお話しさせてもらいましたが、政府、企業、メディアといった大きいものや一部の天才、最新のテクノロジーではなく、あなたが希望です。僕らがこの気候変動の影響を受ける「一番最初の世代」でこれを止めることができる「一番最後の世代」です。

言い訳せずに、議論ばかりする口だけの人間にならずに、ちゃんと行動して悔いのないように、矢印は自分の方に向けて、楽しく、本気の大人のかっこいい背中をみんなで一緒に見せていけたらなと思います。

僕が今日お伝えしたかったことはこれで全部です。ありがとうございました。

ゼロカーボン・ダイアローグ

3月12日(土)開催のゼロカーボン・ダイアローグの公式サイトです。

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